『地質調査とは』
そもそも「地質調査」とは、どんな仕事なのでしょうか?難しく考える必要はありません。
固い名前ですが、実はみなさんの生活にもとても身近な仕事なのです。
まずは、下の写真をご覧ください。
AとB、2つの土地があります。みなさんが家を建てるとしたらどちらの土地にしますか?
もちろん、買い物できるお店が近くにあるかとか、職場への通勤距離とか比較したい条件はたくさんあると思いますが、まず重要になるのはその土地の地盤が建物の重さに耐えられるのか?ということです。
一般的な木造住宅1棟の重さは30~40tと言われています。
その重さに耐えられる地盤なのかどうかは、外見からだけではわかりませんよね?
そこで、見えない地面の下の状況を見えるようにするのが、ボーリング調査を始めとする『地質調査』という仕事なのです。
その試料を観察することで、見えなかった地面の下の状況が見えてくるのです。
建物を建てるには、このそれぞれの地質状況に応じた基礎の形式を選定することが必要となります。
熊本県だけで見ても場所によって地質の状況は千差万別。
つまり家やビル、また橋や道路などの構造物を造る際には、地質調査は必要不可欠と言えるのです。
『土木構造物の地質調査』
土木構造物の設計施工にはボーリング調査が必要不可欠です。
地盤情報を正確に把握することで、より安全かつ経済的な計画設計が可能になります。
また、施工後の災害リスクを予測し適切な対策を計画する為にも重要な調査になります。
【構造物の調査】
構造物を計画する上で重要な検討材料は主に基礎調査が多く見られます。
地中内のどの層に基礎(杭)を置くのか、地層構造の確認、支持力の確認等を調査する必要があります。
【ボーリング調査】
下の写真のような機械を利用して、地中に孔を掘り、実際に土のサンプルを採取することによって地層の
構造を確認します。
ボーリング調査にはノンコアボーリングとオールコアボーリングがあり
下記の写真のような試料(コア)を採取しながら掘る調査の事をオールコアボーリングといい。
試料(コア)を必要としない調査をノンコアボーリングといいます。
オールコアボーリングでは実際に採取された試料を観察し地盤の特性や状態を確認できます。
【標準貫入試験】
構造物を支える為には十分な固さ・強度を持った支持地盤という地盤を探す必要があります。そこで実施される調査が標準貫入試験になります。
標準貫入試験では機械を使用して、重しを落下させて地面を叩きその打撃回数によって地盤の強度を調べます。この打撃回数がN値になり打撃回数が多いほど強固な地盤であると言えます。
地盤の土質によって支持地盤は異なりますが、一般的にN値が20以上の土質は支持地盤として適用可能であり50以上ある場合は充分に強固な地盤であるとされています。
また、貫入試験は同時に土のサンプルの採取も行います。
ノンコアボーリングの場合、この標準貫入試験によって得られた試料のみを標本箱にまとめたものが調査の成果品となります。
【柱状図及び断面図の作成】
上記のような調査を行い、それぞれの調査で得られたサンプルを観察し、標準貫入試験のデータ等を総合的にまとめたものが下図の柱状図と呼ばれるものになります。
そしてこの柱状図を他の箇所での調査で確認された同一層をつなぎ合わせると下図のような地面を半分に切ったような断面図が完成します。
この断面図を活用して見えない地中内の構造を明確化していく事が可能になり設計・施工に活用されます。
※熊本県地質調査業協会の上部組織である、(一社)全国地質調査業協会連合会のホームページに
分かりやすい動画もありますので、是非ご覧ください。
https://www.zenchiren.or.jp/geo_survey/#anc6